ご挨拶

宮部 斉重主任教授
Yoshishige Miyabe, MD, PhD

 2022年4月1日より聖マリアンナ医科大学 免疫学・病害動物学 4代目主任教授に就任しました宮部斉重 (みやべ よししげ)です。

私は名古屋市立大学医学部を卒業後、東京医科歯科大学医学部 膠原病・リウマチ内科(宮坂信之教授)に入局し、臨床医として従事していました。2009年に大学院へ入学し、南木敏宏先生(現 東邦大学内科学講座膠原病分野教授)に師事し、脂質メディエーターであるリゾファスチジン酸を標的とした関節リウマチの新規治療法に関する基礎研究 (Miyabe et al, Arthritis & Rheumatology 2013, Miyabe et al, Arthritis Research and Therapy 2014)に従事しました。大学院時代には宮坂昌之先生 (大阪大学名誉教授)や岩井佳子先生 (日本医科大学大学院教授)からもご指導頂き、基礎研究の面白さに目覚め、大学院卒業後に米国へ研究留学する事を決意しました。

 2013年から米国のMassachusetts General HospitalHarvard Medical Schoolでケモカイン分野の先駆者であるDr. Andrew (Andy) D. Lusterから慢性炎症におけるケモカインの機能解析に関する基礎的な実験手法を習得し、生体イメージング研究の先駆者であるDr. Thorsten R. Mempelから生体イメージングによる免疫細胞の動態実験やそのデータの解析手法を習得しました。留学中に生きたマウスの関節組織をリアルタイムに解析する関節内インビボイメージングシステムを構築 (Miyabe et al, Methods in Enzymology 2016)し、関節におけるIII型アレルギー反応機序は従来と異なり補体成分C5aが起点となっている事を報告しました (Miyabe et al, Science Immunology 2017)。さらに関節組織で走化因子をリアルタイムに可視化するシステムを構築し、補体受容体C5aR2による補体成分C5aの輸送メカニズムも発見しました (Miyabe et al, Science Immunology 2019)。2018年に帰国し、日本医科大学 先端医学研究所 細胞生物学 岩井佳子大学院教授のご指導のもと、脳内における免疫細胞の遊走制御機構という新しい研究プロジェクトを開始する機会を頂き、2022年本学 主任教授に就任しました。

 本研究室では、歴代の主任教授の先生方が築かれた臨床免疫学・再生医学に私が学んできた生体イメージング技術を取り入れ、さらに発展させていきたいと考えています。特に、なぜ細胞は動くのか?なぜ、循環している細胞が遠隔地へ移動できるのか?など基礎的な疑問にも興味を持っています。また、膠原病内科医として臨床に従事してきた経験を生かして臨床におけるアンメットメディカルニーズを解決できるようなTranslational Researchを展開し、医学の発展にも貢献したいと思っています。

 また、私は特に人との"出会い"を大切にしたいと思っています。私は医学部を卒業する時、自分が研究者の道に進むとは全く想像していませんでした。私はこれまでに多くの素晴らしい先生方と出会ったおかげで今の自分があると感謝しています。例えば、後期研修医の時、岩井佳子先生との偶然の出会いが基礎研究に興味を抱くきっかけになりました。米国時代、Andyとの出会いが臨床医から基礎医学へ転向する事を決意させました。どこで自分の人生を変えるような出会いがあるかはわかりません。本研究室へ参加してくれる学生、研究者の方々にとって私たちとの出会いがお互いにとっていいものとなるように私は心がけたいと思っています。



2022 (令和4)年 4月1日

Profile

略歴

学歴

2005年 名古屋市立大学医学部医学科 卒業

2013年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 修了


職歴

2005年 東京医科歯科大学医学部附属病院 初期研修医

2006年 太田総合病院附属太田西ノ内病院 初期研修医

2007年 東京医科歯科大学医学部 膠原病・リウマチ内科 後期研修医

2008年 青梅市立総合病院 リウマチ膠原病科 医員

2012年 東京医科歯科大学医学部 膠原病・リウマチ内科 特任助教

2013年 Research Fellow, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School

2017年 Instructor, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School

2018年 日本医科大学先端医学研究所 細胞生物学 講師

2022年 聖マリアンナ医科大学 免疫学・病害動物学 主任教授  


主要な受賞歴

2015年 Massachusetts General Hospital, Poster Celebration, Poster of Excellence

2015年 Pfizer US ASPIRE Rheumatology and Dermatology Research Award

2015年 Mallinckrodt Pharmaceuticals Rheumatology Research Award

2019年 日本医師会医学研究奨励賞

2021年 東京都医師会医学研究賞奨励賞


資格

医師免許

日本内科学会認定内科医

日本リウマチ学会認定専門医

日本リウマチ学会認定指導医


Editorial Board

PLOS One, Academic Editor

BMC Musculoskeletal Disorders, Associate Editor

Frontiers in Drug Discovery, Associate Editor

Frontiers in Pharmacology, Guest Associate Editor

Frontiers in Immunology, Associate Editor


Selected Publications